ゆる公認心理師ブログ

心理や教育分野についての記事を書いています

場面緘黙児の男女差について

場面緘黙不登校

 場面緘黙児の中には、学校で話さないけれども、友だちと元気よく遊んでいるということがあるようです。緘黙児にとっては、「話さない」ことが、自分の心理的安定につながっているという話を聞いたことがあります。話さないことで、自分を守っているというイメージでしょうか。
 一方で、学校に行くことに対する回避行動として、不登校という状況があります。不登校の原因は様々ですが、場面緘黙不登校も学校という場面で何らかの不安を抱えているのではないでしょうか。
 

場面緘黙は女の子の方が多い

 『場面緘黙児の心理と指導』という本には、男児:女児=1:2の割合、『場面緘黙児への支援』という本には、女児の方が1.5~2倍の割合で存在すると書いてあります。すなわち、場面緘黙児は女児の方が多いと考えられます。しかし、前の記事にも書いたように、大規模な調査は行われていないため、鵜呑みにしていくのはやや危険かと思います。
 元当事者の方々(元場面緘黙の方々)に講演会などでしばしばお会いする機会がありますが、私としては、男性が少ないとか女性が多いとかそういった印象は持っていません。場面緘黙児においては、やや女児の方が多いような印象はありますが、あくまで印象かもしれません。このブログを読んで下さっている方々にアンケートを取ってみたいですね。

長引かせないことを考える

 男女差については、発症時期や改善までの期間など、様々な見方を持つことが必要であると考えています。もしかすると、改善までに多くの時間がかかるのが女児で、その結果として実数が増えているという可能性もあります。幼稚園・小学生・中学生・高校生・大学生・社会人など、カテゴリーで分けていくと、また違った結果が出るかもしれません。
 最初に不登校の話を書きましたが、場面緘黙不登校も、長期化を防ぐことが重要であると思います。長引かせないために、働きかけていくことが大切です。


参考文献(どちらも場面緘黙の入門書です)
河井芳文・河井英子(1994)「場面緘黙児の心理と指導―担任と父母の協力のために―」. 田研出版.

Mcholm, A.E., Cunningham, C.E., & Vanier, M.K.(2005)Helping your child with selective mutism. New Harbinger Publications, Oakland. 河井英子・吉原桂子訳(2007)「場面緘黙児への支援―学校で話せない子を助けるために―」. 田研出版.

質問等ありましたら、コメント欄にお書きください。