ゆる公認心理師ブログ

心理や教育分野についての記事を書いています

1日5分あればできる!超シンプルな勉強法!

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こんにちは、公認心理師の津田です!

「参考書買ったけど、なかなか勉強が捗らなくて・・・」と悩んでいませんか?

 

そんな方に向けて、誰でも簡単にできる勉強法を用意しました。

  • 勉強がなかなか進まない!
  • 勉強時間がとれないけど、どうしたらいいの?
  • 勉強が習慣にならない!

 

本記事では、「試験勉強が全然できない人向け」に、とりあえずやってほしいことを紹介していきます。

 

当記事を読めば、公認心理師受験生として最低限やった方がいいことがわかると思いますので、ぜひご覧ください!

 

目次

 

1.急に勉強できるようにはならない

そもそも、今まで勉強をしてこなかった人が、急に勉強を始めようと思っても、できないと考えた方が良いです。

 

例えば、私も試験勉強を始めるとき、「毎日最低1時間は勉強しよう!」と強く決意したものの、当然無理でした。。

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試験勉強を始めた頃の記録です。勉強する習慣がなかったので、これでも大変でした。。

 

ですから、自分の思うように勉強が進まないのは当たり前のことです。まずは、自分の達成できそうな目標を設定した方がよいでしょう!

 

2.誰でもできる勉強法

公認心理師試験の受験生で、勉強が全然捗らない人がいたら、とりあえず毎日過去問1問解いてください!

 

過去問1問であれば、早い人で1分、遅い人でも5分あれば解けます(過去記事でも書きましたが、1問2分弱で解かないと、試験問題が全て終わりません)。

とにかく、毎日1問でもいいから解いてください!

 

1問解く時間をつくることができれば、自ずと2問、3問と取り組めるようになりますし、結果的に勉強時間の確保や習慣につながると思います。

なぜ過去問が良いのかについては、別記事で解説したいと考えています。

 

3.過去問への取り組み方

過去問を解く方法として、過去問を手に入れる、参考書で解く、スマホなどで取り組む、の3点があります。

 

過去問であれば、公認心理師 過去問」と検索すれば出てきます。もちろん、日本心理研修センターのHPにも掲載されています。

 

参考書であれば、私の知っている範囲では以下の2冊が、過去問解説をしている参考書です。

もし参考書で過去問を解きたい方がいましたら、参考にしてください!

 

スマホでは2つ使用していました。

1つ目が、公認心理師2021年対策アプリ

2つ目が、MOSS Study というサイトです。

https://moss-study.com/

どちらもスマホがあれば手軽に取り組めるので、1日1問確実にできると思います。

 

4.まとめ

最後に、今回の内容をおさらいしていきましょう。

  • 勉強を始めるときには、自分に合った目標を設定しましょう。
  • 毎日1問でいいので、過去問を解きましょう。
  • 自分に合った過去問への取り組み方を見つけましょう。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

【たった1つだけ!】公認心理師試験参考書の選び方

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こんにちは、公認心理師の津田です!

公認心理師試験の参考書を買おうと考えてるんだけど、どの本を買ったらいいの?・・・」と悩んでいませんか?

 

そんな方に向けて、誰でも簡単にできる参考書選びの記事を用意しました。

  • 参考書の選び方がわからない!
  • おすすめの参考書が知りたい!
  • 何冊くらい買ったらいいの?

 

記事の前半では参考書の選び方を、後半では私が使っていた参考書を紹介していきます。

 

当記事を読めば、なんとなく参考書の選び方がわかると思いますので、ぜひご覧ください!

 

目次

 

1.参考書の種類

公認心理師試験の参考書は、「テキスト」と「問題集」の2種類があります。

テキストは「教科書的なもの」、問題集「問題がたくさん載っている的なもの」ですね。

テキストはインプット、問題集はアウトプットのために使用すると考えてください。

 

例えば、テキストを読んでわかった気になっていても、実際に問題を解いてみると、できないことってありますよね。問題集を繰り返し解いても間違える問題は、知識が足りない場合も考えられます。

 

試験勉強は、インプットとアウトプットのバランスが大切です!

何から買っていいかわからない人は、テキストと問題集を買うことをおすすめします。

 

2.参考書の選び方

非常にシンプルかつ最も効率の良い方法を1つお伝えします。それは、「本屋に行って参考書を選ぶこと」です。

え?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。でもこれが誰にでも当てはまるたった1つの方法です。

 

とりあえず本屋に行きましょう。すると公認心理師試験のコーナーがあるはずです。そこでいろいろな参考書を手に取り、自分に合いそうなものを見つけてください。

参考書は、自分が使いやすいかどうか、続けられそうかどうかが一番大事です!

 

例えば、私はネットで高評価だったある参考書を買いましたが、自分には合わず、本屋でいろいろな参考書を手に取り、自分に合いそうなものを買い直したということがありました。

 

ネットの情報も役立つことはありますが、参考書にも相性があります。

なので、自分に合いそうな参考書を本屋で探すことは、とても大事だと思います。

これから参考書を買う人は、本屋に行くことをおすすめします!

 

3.何冊くらい買ったらよいか

参考書は、たくさん買えば良いということではありません。これから試験勉強を始める人は、テキスト1冊、問題集1冊で十分だと思います。

ただし、買ったテキストや問題集に書いてあることは、全て答えられるようにするつもりで使ってください。

 

1冊じゃ心細い、もっと他にもインプットした方が良いのでは。と考えてしまう人もいるかと思います。

1冊を完璧にした状態あれば良いのですが、完璧になっていないと消化不良を起こします。

 

私は大学受験の頃、いろいろな参考書を買っては、それに満足して、結局どの参考書も中途半端だったという経験をしました。その経験もあったので、後述しますが、公認心理師試験では、ほとんどの時間を1冊の参考書に費やしました。

 

まずは、テキスト1冊・参考書1冊を買って勉強を始めると良いかと思います。

 

4.私が使った参考書

私が試験勉強で使った参考書は全部で4冊です。

公認心理師 完全合格問題集(通称青ペン) 翔泳社

公認心理師 要点ブック+一問一答(通称オレンジペン) 翔泳社

公認心理師試験対策総ざらい 実力はかる5肢選択問題360 福村出版

公認心理師現任者講習会テキスト 金剛出版

以下でざっくりと紹介をします。

 

公認心理師 完全合格問題集(通称青ペン)

ペンギンが表紙のかわいいやつです。今年版は猫も表紙に載っているとか。

青ペンは、過去問が分野ごとに載っています。見開きで完結するようになっており、左ページが問題、右ページが解説となっています。

この、見開きで決着がつく点が私にはとても合っていました。それと、解説が長ったらしくないのもgoodです!

 

公認心理師 要点ブック+一問一答(通称オレンジペン)

こちらもペンギンシリーズです。いわゆる赤シートで隠して使う系のやつです。

知識が足りていない分野を学習する用に使いました。

青ペンと用語がリンクしているので、専門用語で混乱することはありませんでした。

買うなら青ペンとセットで使うと良いかと思います。

 

公認心理師試験対策総ざらい 実力はかる5肢選択問題360

こちらは試験直前に、勢いで買った一冊です。

問題の難易度はやや高めで、1周目はとてもしんどかったのを覚えています。

一方で、ここまで勉強したから大丈夫!と安心させてくれた問題集でもあります。

 

公認心理師現任者講習会テキスト

現任者講習を受ける際に買いました。

用語の確認などで何回か使った記憶がありますが、結局試験勉強ではほとんど使うことはありませんでした。

 

以上が私の使った参考書です。別の記事で紹介しますが、私は①の青ペンを中心に試験勉強をしました。おそらく青ペン8割、その他2割くらいのイメージです。おかげさまで青ペンに書いてあることはほぼ頭に入っています。

 

繰り返しになりますが、参考書には相性があります。これから参考書を買う人は、本屋でざっと目を通してから買うことをおすすめします!

 

5.まとめ

最後に、今回の内容をおさらいしてきましょう。

  • 参考書には、テキストと問題集があります。
  • 本屋に行って自分に合った参考書を見つけるようにしましょう。
  • テキスト1冊、問題集1冊買うと良いです。

 

前回の記事に、公認心理師試験の内容についてざっくりと解説しています。

お時間ある方は、こちらもお読みください。

yuru-psychologist.hatenablog.com

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

【ゆる~く解説】公認心理師試験の内容

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こんにちは、公認心理師の津田です!

 

公認心理師の試験を受けようと考えてるんだけど、そもそもどんな試験なの?・・・」と悩んでいませんか?

 

そんな方に向けて、公認心理師試験の大まかな内容を用意しました!

  • 公認心理師の試験勉強を始めたいけれど、何から始めたらいいの?
  • 試験の範囲や内容は?
  • 問題数や合格点について知りたい!

 

本記事では、「これから公認心理師試験の受験する人向け」に、ざっくりと公認心理師試験の内容を紹介していきます。

 

当記事を読めば、なんとなく公認心理師試験がどのようなものかわかると思いますので、ぜひご覧ください!

 

目次

 

1.公認心理師の試験範囲について

まず、公認心理師の試験範囲は、「出題基準」に載っています。出題基準は、大項目・中項目・小項目と3つに分かれています。

第五回公認心理師試験の出題基準は、日本心理研修センターのホームページにありますので、必ず目を通してください。

また、出題基準と一緒に「ブループリント」が載っています。

 

出題基準にはどのような分野が出題されるのか、ブループリントには分野ごとの出題割合が載っています。

どんな分野から問題が出るのかわからないと、そもそも勉強を始めることができませんよね。

それに、公認心理師試験は、各分野の出題割合があらかじめ設定されています。

 

例えば、大項目の⑪の「社会及び集団に関する心理学」は出題割合は約2%ですが、⑱の「教育に関する心理学」は約9%です。

出題範囲や傾向を知るのって、とても大事なことですよね。その点は大学受験や他の資格試験と同様です。

 

まだ試験勉強を始めていない人も、すでに始めている人も、とりあえず出題基準とブループリントには一度目を通しておくと良いでしょう。

 

2.試験時間と問題数について

公認心理師試験は、午前2時間、午後2時間の計4時間で行われます。

問題数は、午前77問、午後77問の計154問です。

 

2時間で77問解くということは、1問あたり2分弱で解く必要があります。

見直しの時間などを含めると、実際にかけられる時間はさらに短くなるでしょう。

 

さらに午前午後合わせて4時間という長い試験です。

お昼をまたぐので、コンディションの調整も必要となってきます。

そういった点については、また改めて記事を書こうと思います。

 

公認心理師試験=4時間で154問ということを頭に入れておいてください!

 

3.問題の種類と配点について

公認心理師試験の試験問題は、「一般問題」と「事例問題」の2つに分かれます。

 

ざっくり説明をすると、一般問題とは知識を問う問題のこと、事例問題とはある事例についての対応を問う問題のことです。

 

実はこの2種類の問題は、配点が異なります。

一般問題は1問1点、事例問題は1問3点です。

 

午前午後ともに一般問題が58問、事例問題が19問(77×2=154問)という構成になっています。

つまり、試験の総得点は230点となります(116×1+38×3=230)

 

勘のいい方はお気づきかもしれませんが、事例問題をしっかり取っていくことが重要であると言えます。

 

4.合格点について

公認心理師試験の合格点は、総得点(230点)の60%程度以上を基準とするが、問題の難易度で補正することがあるようです。

 

実際、第3回試験までは合格点が138点以上(総得点の60%)でした。

ところが、第4回試験では、合格点が143点(総得点の約62%)以上と変わったのです。

 

138点以上取れれば大丈夫、とは思わない方が良さそうですね。

 

5.まとめ

最後に、今回の内容をおさらいしてきましょう。

  • 出題基準・ブループリントに目を通し、試験範囲や出題割合を把握するようにしましょう。
  • 試験時間は午前2時間、午後2時間の計4時間です。
  • 問題数は午前77問、午後77問の計154問です。
  • 問題は一般問題と事例問題の2種類です。
  • 一般問題は1問1点、事例問題は1問3点です。
  • 合格点は総得点の60%程度以上です。

第5回公認心理師試験の出題基準・ブループリントは、こちらのページに掲載されています。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

 

学校で筆談をしてみよう!その1

どうも、こじまるです。
今回は、学校で筆談によるコミュニケーションをとっていくための具体的な手立てについて書いていこうと思います。
場面緘黙児の多くは、学校で話すことが難しいです。そのため、何らかの形でコミュニケーションを取る必要があります。
身振りや頷き、指差しで伝えられるものは良いのですが、実際にはそれだけでは困難な場面もあります。
そこでコミュニケーションをとるために用いるのが筆談です。筆談であれば、いわゆるオープンクエスチョンのような問いかけにも応じることができるようになります。
しかし、「じゃあうちの子にも筆談をさせてみよう」「これからメモに書いて伝えてみよう」と思っても、簡単にいかないことがあります。以下に注意点や自分が気をつけていることについてまとめますので、良かったら参考にしてみてください。

まずは応答からはじめてみる

コミュニケーション行動を指導していく際、「要求行動」から指導することが多いです(例えば、「○○ください」と音声言語や絵カードで自分から伝える等)。ところが、場面緘黙児は基本的に不安や緊張を抱えています。そのため、まずは指差しや頷きの延長として、教師や友達からの問いかけに対して、「筆談で応答する」というやりとりから入っていくと良いでしょう。
学校であれば、 以下の場面で練習してみてはどうでしょうか。

  • 選択肢から選ぶ場面(支援者側が選択肢を提示して、それを子どもが書いて伝える)
  • 質問に答える場面(イエス・ノー型から、自由回答へと段階的に行う)

筆談で応答できるようになってきたら、少しずつ筆談で自発的なやりとりへと進めていきます。
その話は、次回書こうと思います。

書いたらすぐに消せるので、便利です。100均にも似たようなものが売っているみたいですよ。

就学先や学びの場はどうなっている?

通常学級か特別支援学級

 場面緘黙の子どもたちに限らず、発達面に支援の必要な子どもたちは、就学先を慎重に選ぶ必要があります。ここでは小学校に入るときの就学先について紹介します。
 通常学級はおおむね30人くらいが在籍する、いわゆる「普通学級」です。場面緘黙のお子さんも通常学級に在籍し学校生活を送っていることが多いように感じています。話さないこと以外で困り感のない場合、それなりに問題なく過ごせることもあるのかと思いますが、緘動(固まってしまうような状態)や、必要なことを自分から伝えることができない場合、担任の存在がとても重要です。様子をよく見てくれているか、適切な支援をしてくれるのか、場面緘黙に関して理解があるのか、など担任の力量が問われます。理解のある方であれば、安心して過ごすことができるかと思いますが、理解のない方にあたると、最悪の場合話すことを強要されることもあります。通常学級は子どもの数も多いので、担任の手が回らなくなることも仕方ないのですが、保護者の側から気になる点があれば、働きかけていくことも必要です。
 特別支援学級は、8人1学級です。少人数のため、通常学級に比べると一人一人に目が行き届くといえます。また、特別支援学級で学びながら交流学級という形で通常学級で学ぶこともできます。場面緘黙のお子さんの場合、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍し、学校生活を送ることもあるようです。しかし、特別支援学級の担任でも場面緘黙についての理解がないこともあるので、必要なことは事前に伝えた方が良いでしょう。

通級指導という学びの場

 通常学級に在籍した場合、通級指導を受けることもできます。通級指導とは、週に1回程度指導を受けられる場のことをいいます。指導の内容は様々ですが、その子が抱えている困難さを克服・改善するための指導を受けることになります。場面緘黙のお子さんの場合、通級指導の中で話せるようになり、そこから通常学級でも話せるようになることがあるようです。話すことを目標にすることもあるかもしれませんが、コミュニケーションスキルの獲得や、自己表現の仕方など、その子の実態に応じていろいろな目標を立てていきます。私が過去に関わったケースでも、筆談でのやり取りから会話へと発展したこともあります。

積極的に支援を受けるべき

 発達障害系のお子さんと同様に、場面緘黙のお子さんに対しても学校の中で必要な手立てを受けられる環境を整えていくことが重要です。就学先の選択はその一つであるといえます。不安や緊張がとても強いなど、お子さんが不適応を起こしているときには、学校に相談しながら、学びの場について考えていく必要もあるのではないでしょうか。いずれにしても、場面緘黙に対してはまだまだ理解されていないことが多いので、繰り返しになりますが、保護者からの働きかけを積極的に行ってほしいです。

場面緘黙児の男女差について

場面緘黙不登校

 場面緘黙児の中には、学校で話さないけれども、友だちと元気よく遊んでいるということがあるようです。緘黙児にとっては、「話さない」ことが、自分の心理的安定につながっているという話を聞いたことがあります。話さないことで、自分を守っているというイメージでしょうか。
 一方で、学校に行くことに対する回避行動として、不登校という状況があります。不登校の原因は様々ですが、場面緘黙不登校も学校という場面で何らかの不安を抱えているのではないでしょうか。
 

場面緘黙は女の子の方が多い

 『場面緘黙児の心理と指導』という本には、男児:女児=1:2の割合、『場面緘黙児への支援』という本には、女児の方が1.5~2倍の割合で存在すると書いてあります。すなわち、場面緘黙児は女児の方が多いと考えられます。しかし、前の記事にも書いたように、大規模な調査は行われていないため、鵜呑みにしていくのはやや危険かと思います。
 元当事者の方々(元場面緘黙の方々)に講演会などでしばしばお会いする機会がありますが、私としては、男性が少ないとか女性が多いとかそういった印象は持っていません。場面緘黙児においては、やや女児の方が多いような印象はありますが、あくまで印象かもしれません。このブログを読んで下さっている方々にアンケートを取ってみたいですね。

長引かせないことを考える

 男女差については、発症時期や改善までの期間など、様々な見方を持つことが必要であると考えています。もしかすると、改善までに多くの時間がかかるのが女児で、その結果として実数が増えているという可能性もあります。幼稚園・小学生・中学生・高校生・大学生・社会人など、カテゴリーで分けていくと、また違った結果が出るかもしれません。
 最初に不登校の話を書きましたが、場面緘黙不登校も、長期化を防ぐことが重要であると思います。長引かせないために、働きかけていくことが大切です。


参考文献(どちらも場面緘黙の入門書です)
河井芳文・河井英子(1994)「場面緘黙児の心理と指導―担任と父母の協力のために―」. 田研出版.

Mcholm, A.E., Cunningham, C.E., & Vanier, M.K.(2005)Helping your child with selective mutism. New Harbinger Publications, Oakland. 河井英子・吉原桂子訳(2007)「場面緘黙児への支援―学校で話せない子を助けるために―」. 田研出版.

質問等ありましたら、コメント欄にお書きください。





 

 

緘黙児ってどのくらいいるの?

学校じゃあそうそう出会わない緘黙

 私は場面緘黙の研究を始めるまで、「場面緘黙」という言葉を聞いたことがありませんでした。一応教職系の大学を出ていますが、講義でも聞いた覚えがありません。学生の頃から学校に関わる仕事をしてきましたが、行った先に緘黙児がいたというのは、たった1人です。
 学校の先生方と話をしていても、緘黙という言葉は聞いたことがあるが、実際に関わったことがない、どんな状態を指すのかよく知らない、といった声を聞きます。むしろ学校現場よりも、療育機関や医療機関に勤めている人の方が関わる人数は多いのかもしれません。

1000人に2人から4人くらい

 さて、本題に入っていきます。場面緘黙児の調査については、河井・河井(1994)にわかりやすい表がありますので、それを参考に私の方でまとめました。

 ざっとこんな感じ

調査者 調査対象と人数 発生率
内山(1959) 群馬県前橋市の全小学校児童24,245人(男児12,279人・女児11,966人) 0.19%
東畑・藤原(1967) 但馬地区の小中学校155校の児童・生徒35,715人 0.38%(小0.44%・中0.29%)
深谷・伊藤松崎・野田(1970) 東京都内公立幼稚園の園児5,950人 0.47%(男児0.46%・女児0.48%)
群馬県教育センター(1978) 群馬県内の小中学校全児童・生徒(小2,012人・中2,566人) 小0.15%・中0.04%
群馬県太田市立中央小学校相談指導室(1979) 太田市内の小学校児童13,306人 0.15%
群馬県太田市立中央小学校相談指導室(1980) 太田市内の小学校児童14,463人 0.20%
村本(1983) 上川管内公立小中学校の児童・生徒(小43,713人・中22,026人) 0.032%(小0.027%・中0.041%)

河井ら(1994)を参考に作成
 多少ばらつきはありますが、だいたい1000人に2人から4人くらいといったところでしょうか。
 ちなみに、国外の文献に目を向けてみると、Kumpulainen,Räsänen,Raaska,& Somppi(1998)の調査では2パーセント(小学校低学年を対象)、Bergman,Piacentini,& McCracken,(2002)の調査では、約0.7%(2256人中16人)でした。国内の文献に比べて多い気がしますね。

国レベルでの調査が行われていないという現実

 さて、この調査を見て、いくつか気になる点があります。まず気づくのは、調査時期が古いということです。そうなんです、場面緘黙の調査はここ30年行われていないのです。さらに気になるのは、国レベルでの調査がされていないことです。河井ら(1994)によると、1960年代に一度行われているようですが、それ以来、国レベルで緘黙児の数を調査した報告はありません。もしあったら教えてほしいくらいです。

大切なことは、目の前の子どもに向き合っていくこと

 緘黙児がどのくらいいるのかは、正直はっきりしません。文科省が学校等を対象に調査でもしない限り、実際の数はわからないでしょう。調査に対する働きかけを行っていくのも大事なことであると考えています。
 しかしながら、一番大事なことは、私たちが緘黙児と出会ったときに何ができるかだと思います。適切な働きかけを行うことができれば、それは緘黙児にとってプラスの経験になっていくことでしょう。そのためにも、どのように関わっていけばいいのか、どんな働きかけをしていけばいいのか、勉強しなきゃダメですね。


参考文献
Bergman, R. L., Piacentini, J., & McCracken, J. T.(2002)Prevalence and description of selective mutism in a school-based sample. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry,41(8),938-946.
河井芳文・河井英子(1994)場面緘黙児の心理と指導―担任と父母の協力のために.田研出版.
Kumpulainen, K., Räsänen, E., Raaska, H., & Somppi, V.(1998)Selective mutism among second-graders in elementary school. European Child & Adolescent Psychiatry,7(1),24-29.
村本克己(1983)学校における緘黙児の実態調査.情緒障害教育研究紀要,2,77-80.